マイクのりについて[あさやん] 2014/07/18(Fri) 19:52格闘技系絶叫ナレーション読みをすると、ON AIRを見たら、音声がこもったように小さくなってしまっています。MAスタジオでは大丈夫ですが、局の簡易的なブースだと必ずBGMに飲み込まれたような、遠くで叫んでいるような感じです。この場合、大きな声を出したような技術で、大声でなく読むものなんでしょうか?今、とても困っています。
Re: 「コンプレッサー」と「張らない張り」[あさやん]
2014/07/19(Sat) 19:04
山上様
早速のお返事、ありがとうございました。
とても勉強になりました。また、自分自身の技術不足も徹底して見直していく良いきっかけにしたいと思います。おっしゃる通り、音声の方ではなくDがそのまま音声を収録なさったので、お互いの技術不足が招いた結果かもわかりません。頂いたお返事をもとに、なんとかコミュニケーションをとってみます。心強い虎があり、大変助かりました。本当にありがとうございます!
「コンプレッサー」と「張らない張り」
2014/07/19(Sat) 09:20
スタジオバーズミキサー山上です。
その局の設備等はわからないので、あくまで一般論でお答えします
(元々ミキシングは、ミキサーの好き嫌いや練度、設備によって、まちまちなものです)
症状を読むと原因は【コンプレッサー加工がゆるい】ということだと想定できます。
通常のナレーション音声には「コンプレッサー」という加工がかけられています。
簡単に説明すると「音のでかい所を圧縮して小さい部分の音量をあげる」というもので、要するに声が太くきこえるようになります。
ですが「空調の雑音や部屋の反響音までおっきくなっちゃう」という副作用もありまして、防音に難のある【簡易的なブース】の場合だと、コンプレッサーをゆるくしかかけられなくなります。
さらにコンプレッサーは「地声。体内に響いた声」との相性が良い。きちんと響いた声であればブース内での音量は小さくとも、オンエア上でぐっと前に出すことができます。CMやウィスパーなどでささやき声なのに、グっと存在感を感じてしまう読みの正体はこのコンプにあるのです。
また、イケイケ張り張りナレーションの流行が一段落した今、バラエティ番組でも「張ってないのに煽りのニュアンスもきちんとある=【張らない張り】」という新しいナレーション技術が、アトゥ佐藤賢治さんを中心に席巻しているように思います。スクールバーズでもこの表現手法をレッスンにとりいれています。
さてこのコンプですが、「きんきん声(裏声や、鼻の響きや口先の響きできかせる高音)」では、大声を出しても加工がのりづらいため、コンプ本来のパワーが出にくくなります。要するに「きんきん声で張る→音割れる→ミキサー音量落とす→存在感落ちる→プレイヤーは不安でさらにキンキン張り→ミキサーは不安でさらに音量落とす」の最悪のループです。
考え得る対策は
【A】ミキサーにきちんと問題を伝えて、空調を切るなど防音でできることをつぶし、おそれずコンプを深めにかけてもらう
→他所でうまく録れてる音と比較できると伝わりやすいと思います
【B】キンキン張りにせず、”響き”を重視した声を出す
→【ナレーターに落とし込んだ】ボイトレに通って、まずそれができているかチェックすることがおすすめです
【C】マイクの「芯をとらえる」
→コンデンサーマイクは通常であれば左右90度くらい音を吸うように設定してあると思うのですが「より声のピントがバチっとあう(なんと書けばいいかわかりませんが)」位置がピンポイントにあります。これはもうマイクごとに違うと思うし、発声の問題もあるしでケースバイケースとしか言いようがありませんが、本番前に少し時間をもらえるようであれば、さまざまな位置、声でテストをして、探ってみるのが良いと思います。
最後に。
「局内の簡易なブース」から想像するに、ミキサーではなく、ADが録っているケースなども想定できます。この場合、きちんと番組責任者に話してミキサーを準備してもらうか、ADと話して試行錯誤しながら二人三脚で勉強していくしかありません^^;
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いかがでしょうか。ちょっと難しかったかもしれませんが、この文章を仲の良いミキサーに読んでもらって、実地で解説してもらうのがおすすめです。
ナレーターがミキサーの考えを知っておくのは大切なことです。同時にミキサー側にも「ナレーターの生理」を知ってもらうことも重要です。
誤解をおそれずに書きますが「ミキサーは音(結果の処理)の専門家で、プレイヤーのこと(どう実行するかの過程)は知らない」からなのです。
これを機にスタッフとのコミュニケーションを深めて、番組ぜんぶの技術向上につながるといいですね^^ 応援しています。