地デジ化後の業界 [D]2010/05/14(Fri) 13:09素朴な疑問です。あと1年とちょっとで、地上デジタル化になります。デジタル化になった場合、チャンネルが増えると伺いました。チャンネルが増えるとナレーターの需要は増加するかと単純に考えますが、実際はどうなるかと思いますか?
Re^2: 地デジ化後の業界 その考察 [D]
素朴な疑問に対して、詳細なお答え、ありがとうございます。
短絡的な考えだったことを反省しております。多チャンネル化も、日本ではプラスに働いてないのですね。
BSやCSが当初の思惑より普及していないのは、地上波放送局の圧力があったりして・・・と、少々危険な邪推をしましたが、きっと別の原因があるのでしょう。
最後に仰っていただけた、大窓王様の楽観に期待します。
ありがとうございました。
Re: 地デジ化後の業界 その考察
まず地上デジタルになっても、チャンネル数は増えません。アナログ放送が消え、デジタル放送になるだけです。デジタル化して多様な放送形態にはなるでしょうが、そのままコンテンツが増えるとは考えにくいです。
またチャンネル数が増えると、ナレーターの需要がそのまま増加すると考えるのは、短絡的だと思われます。
ここですこし歴史をひもといてみます。
まずケーブルテレビが誕生したときはニューメディアともてはやされ、皆が期待を膨らませました。アメリカのケーブルテレビ(CNNやFOX)のような隆盛がやってくると皆が信じました。現実は地域に密着した小規模な放送に限定され経済規模や制作本数は・・・でした。
次にBSがやってきました。日本の衛星技術を使い、本格的な多チャンネル時代がやってきました。NHKBSは一定のクオリティと制作費によって、ほんの少しマーケットが広がったと評価はできます。
しかしそれに続くCSは・・・
制作会社は自分たちの局を持てると次々と参入し、次々と消えていきました。番組本数は増えましたが、低価格化が進みました。それは新人の参入を促す一面もありました。しかしその結果、今では更なる新人のるより低価格化が進んでいます。CS放送の底の無い低価格化は、新人ナレーターのチャンスを生むというより、その寿命を、縮めることになっているように思えてなりません。
これら多チャンネル化が招いたもの。それはチャンネルが増えても全体の広告収入枠が増えなければ、一本当たりの制作費が減少していくということ。TVの他チャンネル化は、ある意味、貧困のサイクルに入っているといえます。現状の広告収入にほぼ依存するビジネスモデルのもとでは、当然の成り行きかもしれません。
しかしながら逆説的ですが、制作費減少の中でナレーターの需要はある程度は増えると考えています。映像にコストをかけるより、ナレーションで処理する方が制作費削減になるからです。
もう一つナレーターにとって有利に働くであろうこと。それはTV業界の次なる一手「3D映像」があります。「3D映像」の特徴として、文字情報では酔ってしまうことです。必然的にナレーションを入れる場面が増えるのではないかと考えています。
本命は次に来るであろう、インターネットによる新たなメディアモデルでしょう。それがこれからの未来ではないでしょうか。旧来の広告収入依存だけでないビジネスモデルが立ち上がれば、ナレーターにとっても大きなマーケットになると言えます。まだこの分野でナレーション業界が立ち上がっているとまでは言えませんが、必ず大きな波がくることでしょう。楽観かもしれませんが^^